- p.1
© Tomoharu Nagasawa
長沢 智治
サーバントワークス株式会社 代表取締役
MORE EFFECTIVE SCRUM シリーズ
- p.2
サーバントワークス株式会社
創業者・代表取締役 DASA Ambassador Helpfeel Inc.
Advisory Board Member
長沢 智治
Rational ▷ IBM ▷ Borland ▷ Microsoft ▷ Atlassian ▷ 独立・起業略歴
© サーバントワークス株式会社, Tomoharu Nagasawa
長沢 智治
サーバントワークス株式会社 代表取締役
RSGT 2017 基調講演 RSGT 2020 講演 RSGT 2021 講演 RSGT 2022 講演
RSGT 登壇履歴
MORE EFFECTIVE SCRUM シリーズ
- p.3
長沢 智治の関連書籍とホワイトペーパー
BOOKS
GUIDES & WHITE PAPERS
監訳 協力 執筆 監訳監訳 監訳共著寄稿
NEW! NEW!
- p.4
アウトカムとスプリント活動に集中するには
本日の概要
アウトカム
• 結果指標(遅行指標)
• 改善は困難
• 生産性”中毒”
• やった感の錯覚
アウトカムの動力
• Build the right thing
適切なものを作る
• Build things right
ものを適切に作る
スプリント活動
• 計測して事実を共有する
• 地に足ついた改善策
• リスクを管理
• 予測性を高める
• フローと内発的動機
- p.5
知識/組織的価値
アウトカムとスプリント活動は直結していないが、連動している
アウトカムとスプリント活動
従来の指標
ビジネス価値
社会的価値
《直結する前提?》
先行指標
遅行指標
- p.6
煩雑
complicated
明確
clear
複雑
complex
混沌
chaotic
無秩序
disorder
壊滅的
catastrophic
ステークホルダーと現場の温度差
アウトカムとスプリント活動のアツレキ
問題領域の錯覚 プロダクトマネジメントの”すきま”
複雑適応系(CAS)
生産性が高ければ、成果がでる
完璧な計画を遂行できれば、達成できる
• ビジネスと現場の分断
• ビジネス変化とアウトカムからの乖離
• 「プロジェクト化」とタスクへの依存
• マイクロマネジメントと生産性への執着
デリバリー
と検証
ビジネス戦略
企業ビジョン
価値と開拓
プロダクト戦略
プロダクトビジョン
- p.7
RSGT2022: プロダクトゴールとは?あるいはプロダクトのゴールを設定するには何が必要か?
適切なものを作る - Build the right thing
スクラムチーム
ステークホルダー
スプリントバックログ
スプリントゴール
完成の定義
インクリメント
プロダクトゴール
プロダクトバックログ
目指すもの 期待するもの
実現するもの
プロダクトビジョン
ものを適切に作る – Build things right
- p.8
スクラムもEBMも経験的アプローチ: 網点のように
経験的アプローチ
検査適応
透明性
事実を置いていき、観察により判断
わかった事実「・」を置いていく
画像引用: http://mkagaku.jugem.cc/?eid=333
わかっていることが増えてくる
目指す先が合っているか、
やり方が馴染むかわかってくる
目指す先も検査できるようになる
- p.9
スクラムもEBMも経験的アプローチ: 複雑系思考
経験的アプローチ
検査適応
透明性
客観的なデータを収集し、判断する
煩雑系へ
混沌系へ
無秩序へ
無秩序へ
同調圧力
少数派
あるある
同調する集団
直感や賭け 再現性がある 疑いの余地なし
異端児
止める
チャレンジ
実験
ファシリ
Dave Snowden の複雑系サブシステムの解説をもとに長沢が作成
一貫性
- p.10
アウトカムは遅行指標(結果指標)なので、実験ループで探究し続ける
アウトカムと実験に集中する
実験ループ
PBI PBI PBI PBI PBI PBI
PBI ?
実証データ
PBIとアウトカムは直接つながらない
作る量ではなく、価値を最大化したい|開発者にできるのは価値を生むこと
- p.11
リスクと予測を手の内に
スクラムの狙い
完成・アウトカムへ
(時間)
リスクと予測可能性 KEEP!
未完成の作業によるリスク
予測可能性
PBI コード DoD/AC リリース可能 リリース済み
• 鮮度のあるプロダクトとチームの力
• アウトカムに適応させる
- p.12
一貫性を保つ心臓の鼓動 (フィードバックループのフロー)
スプリント
ビジネスに合わせた短さ アイデアを価値にするだけの長さ
• アウトカムによってプロダクトを適応
• ステークホルダーの期待値管理と協力
• プロダクトゴールに近づくペース
• スクラムチームの”歩幅”
• スクラムチームのケイデンスと成長
• 短期ゴールと集中
時間で(を)制御している
• 時間は、誰にとっても平等で一貫性がある
• 時間は、都合よく恣意的に扱いにくい
• すくなくとも1つの価値を生み出す
- p.13
効果性と反応性が先で、効率性は後回し
1つの価値を生み出すことに集中
段階的アプローチを取る必要がある
Crawl, Walk, Run
プロダクトゴール
プロダクトビジョン
インクリメント
スプリントで少なくとも1つの価値を生み出す
PBI ?
スプリント
- p.14
価値を中心にスケールさせていくのはどうか
スプリントで価値を生むための戦略を立てる
※ とあるチームのアプローチの例
価値 × 1 価値 × 2 価値 × n
ワンチーム
(WIP × 1) 1 2 3 チームはいくつの価値を作れるのか
WIP × 2 4 チームが2つ並行して作業できたらどうか5 6
臨機応変 7 柔軟にモブ / 個人ワークで、
スプリントゴールに適応できたらどうか
- p.15
サイクルタイムで、事実を検査しやすくする
チームは何を計測するとよさそうか
PBI
サイクルタイム
PBI
サイクルタイム
スプリント期間
※ サイクルタイム: 着手してから、完成するまでの経過時間
リードタイム
サイクルタイム 変更のリードタイム
コードコミット
顧客サイクルタイム
アイデア リリース
- p.16
横槍、タスク切り替え、重複作業、PTとWT、VAとNVAを議論しやすい
サイクルタイムは改善を促す
PBI
サイクルタイム(フロータイム)
PT PT PT PT
WT WT WT WT
それぞれのPBIの固有の特性に依存しない共通の改善要素が多い
- p.17
サイクルタイム散布図で傾向を知る
チームはどう傾向を把握するのか
サイクルタイム(日)
0
1
2
3
4
5
6
7
8
着手から完成に移動した日付
サイクルタイム(日)
0
1
2
3
4
5
6
着手から完成に移動した日付
PBI サイクルタイムのローリング平均
サイクルタイムの平均標準偏差
Jira Software: 管理チャート Azure DevOps: scatter-plot control charts
- p.18
WIPで、事実を検査しやすくする
チームは何を計測するとよさそうか
スプリント期間
WIP: 着手しているが完成していないPBI
PBI
スプリント期間
PBI
PBI
PBI
PBI
PBI
PBI
PBI
PBI
PBI
- p.19
累積フロー図(CFD)で傾向を知る
チームはどう傾向を把握するのか
PBIの数(累積)
0
10
20
40
60
時間経過
Jira Software: 累積フローダイアグラム Azure DevOps: cumulative flow
サイクルタイム
WIP
スループット
https://demo.actionableagile.com/ で体感できる
- p.20
PBIの経過期間で、事実を検査しやすくする
チームは何を計測するとよさそうか
※ 「PBIの経過期間」は一般的には、「作業項目の年齢(Work Item Age)」と呼ばれる
PBIの経過期間: PBIが開始してからの経過時間(日数)
(開始して完成していないPBIのみ計測)
結果指標であるサイクルタイムを改善する先行指標として活用
スプリント期間
PBI
PBI
PBI
WT
WIP制限
作業切り替えコスト
- p.21
SLEで、事実を検査しやすくする
チームは何をもとに予測するのか
※ SLE: サービスレベル期待値(Service Level Expectation)
SLE: PBIの経過期間に期待する割合
例)PBIが3日以内に完成する確率が80%であること
PBI
PBI
PBI
PBI
PBI
例)PBIが2日以内でプルリク (MR) に到達する確率が80% (というのも有効だった)
done!
done!
done!
done!
undone
- p.22
予測可能性とWIP数とスループットに影響を及ぼすほどの問題でない
PBIのサイズは気にしなくていいのか
スプリント期間
PBI
PBI
PBI
PBI
PBI
スプリントに収まらないのはそもそも無理
リファインメント / プランニングで分割できる
PBI
おそらくバラツキ(誤差)の範囲内
https://www.agilealliance.org/estimation-and-forecasting/
• 1
• TFB: to f*ck*ng big
• NFC: no f*ck*ng clue
Tシャツサイズ
- p.23
予測可能性に影響を及ぼすほどの問題でない
PBIのサイズは気にしなくていいのか
ポイントとベロシティによる予測
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33
21 30
51pt
40pt
くらい
60pt
くらい
PBIの個数とスループットによる予測
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33
23 2720
16個
37個
見込み
実績
16
※ 各数値は正確ではないポイントはアウトプット、PBIの個数はアウトカムの候補
SLE?
- p.24
事実を観察し、ゴールに向けてチームを適応させる
イベントでの検査と適応
スプリント
スプリントプランニング デイリースクラム スプリントレビュー スプリント
レトロスペクティブ
• スループット
• PBIの経過期間
• WIP
• PBIの経過期間
• スループット
• (サイクルタイム)
• (WIP)
• サイクルタイム
• WIP
• スループット
• PBIの経過期間
“変化の兆し” に気づけば、対処できる
CFD CFD CT散布図SLE
SLE
SLE
- p.25
状況を知った上で、現実的な効果性を高める制限をかけていく
WIPに制限をかける
WIP制限
※ あるチームでは、WIP制限のことを「トランキーロ」と呼んでいる
• 作る量を増やすためのWIP制限ではない
• 価値をできるだけ最大化するためのWIP制限
• 少なくとも1つの価値を生み出すため
• 集中してチームで取り組むため
• シンプルに改善のタネを浮き彫りにするため
• 生産性中毒にならないため
• スクラムイベント以外の
会議を減らす
• 兼務などの切り替え数を減らす
• 意思決定にタイムリミット
(一定時間経過したら自己承認)
• 助言を「サイクルタイム」に
寄与するものに限定する
WIP以外の制限
- p.26
状況を知った上で、現実的な分類をしていく
PBIの種類ごとにアレンジする
PBI
• フィーチャー
• 欠陥 / バグ
• リスク
• 負債
• (改善)
WIP制限:
• それぞれのサイクルタイムとスループットから
スプリントで取り組むそれぞれのWIPを制限する
例) 最大値: フィーチャー (5), 欠陥 (3), リスクと負債 (1), 改善 (1)
スプリントゴール
プロダクト
バックログ
• フィーチャー
• 欠陥 / バグ
• リスク
• 負債
フィーチャー 欠陥 リスク・負債 改善
レトロスペクティブ
スプリントバックログ
• 他の分類が空いているからと言って
最大値を超えないようにすべき
- p.27
アウトカムのタネと時間を上手に運営する
コツ
• KISS(Keep it short and simple)
• 内発的動機による改善は疲れない
よくある指標を見つめ直してみる
• この指標でないといけない理由はあるか
• 何がわかるようになるか
• 何の改善につながるのか
• 合わない指標は途中でも変える・他を試す
チームのために設定し、活かす
• 押し付けや強制になるのを避ける
• ステークホルダーとの約束事としない
「時間」を事実把握に利用する
• 理解しやすい、協力しやすい、改善しやすい
• 白黒つきやすい(改善・次への判断しやすい)
• ごまかせない
• タスクにまで適用しない
• 予測に使わない、事実にのみ使う
- p.28
こ
の
道
を
行
け
ば
︑
ど
う
な
る
も
の
か
︒
危
ぶ
む
な
か
れ
︑
危
ぶ
め
ば
道
は
な
し
︒
踏
み
出
せ
ば
︑
そ
の
一
足
が
道
と
な
る
︒
そ
の
一
足
が
道
で
あ
る
︒
迷
わ
ず
測
れ
よ
︑
測
れ
ば
わ
か
る
さ
︒
アントニオ猪木、『無常断章』清沢哲夫より、改変
- p.29
• 「時間」の事実は計りやすく、受け入れやすい ▶ 改善しやすい
• スループットは、ベロシティよりも説明しやすい(でも約束しない)
• スクラムイベントで、「変化の兆し」を検査し、適応させやすい
• 特に、効果性を妨げる要因が浮き彫りになる
• すぐに試せる改善が浮き彫りになる
• アウトカムへつながる価値の供給フローを実感しやすい
• ビジネス指標に動じない
• 安定供給できていると、邪魔されない、横槍が入りにくい
アウトカムのタネと時間を上手に運営する
得られた効果
- p.30
自ら判断し、選択すること © サーバントワークス株式会社, Tomoharu Nagasawa
長沢 智治
サーバントワークス株式会社 代表取締役
WHAT/HOW
WHY/WHO
WHY/WHO
WHAT/HOW
可能性を制限する 可能性を引き出す
半分正しい
- p.31
本講演に関連する資料
情報リソース
https://kanbanguides.org/
https://www.scrum.org/resources/kanban-guide-scrum-teams
カンバンガイド
• カンバンガイドの定義集
• カンバンガイド《付録》実現手段と詳細説明
スクラムチームのためのカンバンガイド
取り扱った指標の詳細や活用の仕方を知りたい
取り扱った指標をスクラムチームで扱う際の基本ルールを知りたい
- p.32
本講演に関連する資料
情報リソース
https://flowguides.org/
https://www.scrum.org/resources/scrum-guide-companion-leaders
フローシステムガイド
• 複雑性思考: 複雑適応系、ウィークシグナル検知、経験的プロセス制御、制約マネジメント
• 分散リーダーシップ: 共有メンタルモデル、意思決定、行動第一
• チームサイエンス: チーム設計、状況認識、認知形成、チーム効果性
チームリーダーのための「スクラムガイド」手引き
スクラムチームを組織のリーダーに支援してもらい
スクラムチームが置かれている状況の根拠やキーワードを知りたい
- p.33
本講演に関連する資料
情報リソース
https://www.scrum.org/resources/using-measurement-improve-scrum-team-performance
https://www.scrum.org/ebm
スクラムチームの成果を伸ばすための計測方法(仮題)《翻訳中》
USING MEASUREMENT TO IMPROVE SCRUM TEAM PERFORMANCE
• 価値提供の成果の計測
• 価値提供の能力の計測
エビデンスベースドマネジメントガイド
上記概念のガイド
この講演の根拠と発展について関心がある
https://www.scrum.org/resources/
investing-business-agility
ビジネスアジリティのための投資戦略
EBMをポートフォリオ管理に拡張するガイド
- p.34
RSGT2020 〜 RSGT2022
More Effective Scrum
RSGT 2020 講演
© サーバントワークス株式会社, Tomoharu Nagasawa
長沢 智治
サーバントワークス株式会社 代表取締役
RSGT 2021 講演
RSGT 2022 講演
© Tomoharu Nagasawa
長沢 智治
サーバントワークス株式会社 代表取締役
MORE EFFECTIVE SCRUM シリーズ
RSGT 2023 講演
Build the right thing
Build things right
Why/Who ▶ What/How Tools
- p.35
代表取締役
長沢 智治
手を伸ばせば、必ずその手を掴みます
感謝!
nagasawa@servantworks.co.jp
@tnagasawa
© Tomoharu Nagasawa